初めてのカフェ開業。 &nbs…
コーヒー屋を開業するために!開業資金、資格、手続きの徹底マニュアル
憧れのコーヒー屋。
お客様に自分の出したこだわりの一杯を味わっていただき、それに対してお金をいただく……。
なんと楽しそうな仕事でしょうか。
ですが、自分のコーヒー屋を持つということは決して簡単なことではありません。入念な準備、資金、技術があって初めてできることです。初心者だと、「なにから始めていいのかまったくわからない」ことも多いでしょう。
そこで今回は、コーヒー屋の開業マニュアルとして、コーヒー屋を始めるにあたって、どのぐらいの期間、資金が必要か、必要な手続きや備品などはなにかを徹底的に紹介します。
コーヒー屋の開業準備はいつから始めればいい?
コーヒー屋の準備期間ですが、遅くても半年前から動き出したいところです。だいたいの流れは以下の通り。
開業半年より前 | 物件探し
貯金 抽出や調理技術の習得 |
開業半年~3か月前 | 物件契約
融資の申請 店舗工事の打ち合わせ 各種業者への見積もり申請 |
3か月前~1か月前 | 店舗工事&改装
家具・備品の発注など ホームページやSNS作成 |
1か月前~開業まで | アルバイトの募集
広告やビラ配り 電話や電気、ガス契約 |
ただ、これはあくまでも目安。物件探しは、半年前どころか1年前からやっても決して早くはありませんし、貯金や技術習得はもっと前から始めるべきです。
開業準備は早くから始めるにこしたことはありません。なにより、カフェ開業、コーヒー屋の開業に興味を持ったなら、そのときからアンテナを常に高くはっておくことが大事です。
独立開業以外にも、フランチャイズにも興味があるという方は、以下の記事を参考にするとよいでしょう。
コーヒー屋に必要な開業資金は?
コーヒー屋の開業資金は、おおざっぱに3つのコンセプトのどれに当てはまるかで大きく変わります。あなたの作りたいコーヒー屋はどのスタイルでしょうか?
・コーヒーだけのコーヒースタンド
・フードやスイーツを出すカフェスタイル
・焙煎機でコーヒー豆を焼くロースタースタイル
コーヒースタンド形式の場合、よほど高価なエスプレッソマシンを入れなければ、開業費用は200~300万円もあれば作れます。店舗をスケルトンから全改装しても600万円もあれば、おしゃれなコーヒー屋に仕上げることができるでしょう。
ブルーボトルコーヒーやスターバックスコーヒーなどをイメージしてもらえるといいかもしれません。
ただ、サンドイッチぐらいならともかく、パスタやごはんなどのフード、あるいはスイーツも提供するカフェ・喫茶店スタイルとなると、1000万円ぐらいは平気で必要になるので、いきなり桁が変わってきます。居抜きでコストを抑えても500万円ぐらいは見ておいたほうが無難です。
コメダ珈琲やサンマルクカフェなどをイメージするといいでしょう。
焙煎機を導入する場合、焙煎機本体が150万円、コーヒー豆の包材など備品が増えたり、ガス回りの工事が必要になったりするのでトータルでは400~500万円は最低でも必要になるでしょう。大型の焙煎機を導入するなら、簡単に1,000万円を超えることもあります。
地域の自家焙煎店さんなどを見てみると、イメージが付きやすいと思います。
各ジャンルの開業費用
コーヒースタンド 200万円~
カフェ・喫茶店スタイル 500万円~
ロースタースタイル 400万円~
あくまで目安ですが、それぞれのジャンルでどれほど費用が変わるか、どんな要因で開業費用が変わるのかを下記記事で紹介してありますので、「カフェの開業費用についてきちんと考えたい!」という方は、下記の記事を参考にするとよいでしょう。
開業に必要な許可や手続きは?
開業に絶対必要な手続きは2つ。
1. 保健所に行って「飲食店営業許可」もしくは「喫茶店営業許可」のどちらかを申請し、開業予定の店舗を見てもらい、許可をもらうこと。
2. 同じく保健所で開催されている「食品衛生責任者」の養成講習を受講し、食品衛生責任者資格を取得すること。
詳しくはあとでそれぞれ解説しますが、言ってしまえば、この2つの手続きをやればコーヒースタンドを開業することができます。
飲食店営業許可と喫茶店営業許可の違い
「飲食店営業許可」と「喫茶店営業許可」の2つの資格の違いはなかなか分かりにくいと思いますが、ざっとした違いは下記の通り。
飲食店営業許可 | 喫茶店営業許可 | |
---|---|---|
許可でできること | 店内調理可
ドリンクの提供(アルコール可) |
店内調理は基本不可
ドリンクの提供(アルコール不可) |
取得費用 | 18,000円前後 | 12,000円前後 |
共通設備
(※自治体に よって全く違う ので要確認) |
手洗い設備(水道)
換気扇 厨房の上に屋根がある 床から1mまで壁が耐水性がある 蓋つき戸棚があること お手洗いに手洗い設備がある カウンターと客席がしきられている 冷蔵庫に温度計がある 蓋つきゴミ箱がある ハンドソープなどを備えつける |
※同左 |
非共通設備 | 手洗いと別に二層シンクが必要 | 手洗いシンクと一層シンクでよい |
大ざっぱに言えば、このぐらいの違いです。注意点としては、それぞれの営業許可に必要な設備は自治体によってまったく違うので、「絶対に開業予定地のある自治体の保健所に確認しておきましょう」というぐらい。この図はあくまで目安にしておいてください。
さて、パッとみると、「コーヒーしか提供しないし、アルコールもフードも出すつもりはないから、喫茶店営業許可のほうがいい」と思われるかもしれません。特に、コーヒースタンドやロースターの方はなおさらそう思うでしょう。
ですが、コーヒー屋をやるのであれば、基本的には、飲食店営業許可の取得をおすすめします。
なぜなら、コーヒーだけではまず客単価が厳しいからです。コーヒーだけだと、おかわりなんてほとんど出ないので、1人あたり500円程度の客単価にしかなりません。
1日30,000円の売上を上げようと思ったら、60人のお客さんをさばかないといけなくなります。個人店のカフェで働いたことがある人なら分かりますが、60人のお客さんが毎日来ていたら、ちょっとした人気店レベルです。
実際は1日30人程度の来客でもいいほうでしょう。
そのため、ほとんどのコーヒースタンドや専門店のコーヒーショップでは、焼き菓子やトーストぐらいは出しています。そこで客単価を800~1000円程度にして売上を確保しているのです。
コーヒー豆販売の望めるロースターならまだしも、実は、「あんまり食事を出していない」と思われるカフェや喫茶店ですら、売上を計算してみると、多くは飲食店営業許可を取得して売上を確保していることが分かります。
喫茶営業許可の一番のデメリットは「あとから業態を変更することが難しい」ことです。シンクなどの設備も始めから喫茶店営業許可に合わせてしまうと、あとから変更するのが大変になってしまいます。
最初はコーヒーしか出すつもりがなくても、リスク回避のためにも、できるだけ飲食店営業許可が取れる設備を用意しておきましょう。
喫茶店営業許可をとる例外があるとしたら、観光地やアパレルショップのインショップ、駅ナカコーヒースタンドなどで「絶対にノンアルコールドリンクしか出さない」と断言できるときぐらいです。それ以外は、基本的に飲食店営業許可の取得をおすすめします。
開業に必要な資格は?
飲食店営業許可と合わせて必要なのは、基本的には、「食品衛生責任者」の資格のみです。
1店舗に対して、1人の食品衛生責任者が必要になります。
1日6時間ぐらいの食品衛生責任者講習会を受けると取得できます。講習会の日程については、各自治体によって違うので、保健所に尋ねて調べてみるとよいでしょう。
費用はだいたい5,000円前後です。この資格と飲食店営業許可を受けた店舗があれば、いつでもコーヒー屋を開業することができます。
※調理師、製菓衛生師、栄養士などの資格を持っていれば、講習会の時間が短く、受講費用も安い講座を受けることができます。詳しくは保健所に尋ねてみるとよいでしょう。
コーヒー屋に必要な設備
「保健所の許可を通すための設備」は先ほど紹介しましたが、今度は「コーヒー屋として運営するために必要な設備」をご紹介します。
まずは、コーヒー関連の器具、備品から。
コーヒー関連の器具、備品一覧
コーヒー豆
ドリッパーやサーバーなどのコーヒー器具
カップ(ホット用)&皿
グラス(アイス用)&コースター
砂糖&ガムシロップ&コーヒーフレッシュ
ストロー&紙カップなどのテイクアウト包材
紙ナプキン
おしぼり
テイクアウト用袋(紙袋でも可)
コーヒー関連だけでもこれだけの備品が必要です。
コーヒー豆やコーヒー器具、カップ類は自家焙煎店や大手コーヒーショップでそろえることができます。ある程度の知識がある人ならインターネットからでも選べますが、できるならプロの意見は聞いておいたほうがいいでしょう。
その他の備品については業務用のサイトを利用するとよいでしょう。
代表的なところとしては、シモジマ、モノタロウ、アスクルが有名です。シモジマは全国に実店舗もあるので、カフェで働いたことのある人ならば一度は名前を聞いたことがあるかもしれません。
公式サイト⇒包装用品・店舗用品の通販 シモジマ オンラインショップ
それでは、コーヒー以外にはどんな備品が必要でしょうか。
それ以外の備品一覧
レジ
電話&FAX
パソコン
スピーカー&コンポ
エアコン
冷凍冷蔵庫
洗濯機
トイレットペーパー&トイレ清掃道具
看板
食材(パン、野菜など)
その他ドリンク(紅茶、ジュース、アルコール)
冷凍ストッカー
紅茶用の抽出器具
スプーン&フォーク
皿
トースターやオーブンなど調理器具
制服もしくはエプロン
ショップカードなど
領収書
筆記用具
だいたいこのあたり。
かなり多く見えますが、フードをしっかり出す飲食店に比べれば、コーヒー屋はほとんど準備することがありません。このリストに沿って用意すれば、オープン当日の”買い忘れ”はほとんど起きないでしょう。
ほとんどのものはオープン後にでも買い足せますが、電話&FAX(電話回線の契約)、エアコン、スピーカー&コンポ(もしくはUSENとの契約)、看板などは「購入してすぐ備え付け」ができないので、絶対に気を付けておきましょう。
あとは、初めての開業で悩むことが多いのがレジスター。
最近では、iPadやiPhoneなどのタブレットをレジとして使うことも増えてきましたが、まだまだレジスターも現役。それぞれメリットとデメリットがありますので、気になる人は下の記事を参考にしてみるとよいでしょう。
まとめ
ここまでコーヒー屋を開業するための設備や備品、費用や手続きについてご紹介してきました。
「コーヒー屋って開業するのは面倒なんだな…」と思われたでしょうか?
世の中のコーヒー屋さんはこうした手続きをクリアして憧れのコーヒー屋を開業しています。確かに、大変なことも多いかもしれませんが、自分の出したコーヒーをお客様に美味しいと言ってもらってお金をもらう仕事は、やりがいのある仕事です。
コーヒー屋開業の夢に向けて、ぜひ頑張ってください。